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stella

「犬飼先輩ってモテますよね」
「まあ、それなりにね。いきなりどうしたの?」
「……えっと…」って少し頬を染めながら視線を彷徨わせる。
「辻ちゃんもモテるでしょ?」(辻ちゃんのこと見てる子いるの知ってるんだよね)
「……そんなことない……と思いますけど。……話せませんし」
「そう?」
(そこがかわい~って言われてるのも知らないのか。おれもそうだし。まあ、教えてあげないけど)
「もしかして辻ちゃんもモテたかったりする?そうだ、おれが教えてあげよっか」
いいこと思いついた♪みたいな笑顔を浮かべてる犬飼君。
「え?」

犬飼君がちょっと強引に教える流れにもってく。ここからずっとデートタイムで頼みます。「どこ行きたい?」って雑誌一緒に見たり、お昼休みも一緒にお弁当食べたりして欲しい。お弁当、人気のないところで2人きりの空間、みたいなところで食べる。向かいのじゃなくて、隣に座って肩が触れるか触れないかの距離で食べ始める犬飼君。食べ終わった後に、辻ちゃんの手の上に自分の手を重ねて、辻ちゃんの手いじいじする。
「……?なんですか?」
「あれ、目的忘れちゃった?スキンシップは大事だよ、辻ちゃん。わかった?」
ってねっとりした感じで辻ちゃんの指を触り始める。
「……わかり、ました」なんか恥ずかしいな、これ。って段々顔が真っ赤になる辻ちゃん。

色々と割愛しますが、その他も犬飼君が色々、色々するので毎回おどおどしちゃう辻ちゃん。
犬飼君は(ははっ、これくらいで照れちゃうんだ。かわいいね、辻ちゃんは。おれだけが知ってればいいでしょ)辻ちゃんは色々とされる度、犬飼先輩って、女子相手にこんなことしてるんだ……って胸が苦しくなる。
されて嬉しいのに、教えてくれてるだけで俺に対してしてくれてるわけじゃ無い。今まで、どれだけ自分以外にこういうことしてきたんだろう。こんなこと考えたって仕方ないのに。こんな気持ちまで教えてくれなくても良かったのに。

ちょっといい感じになって犬飼君が勢いで辻ちゃんにキスする。
恥ずかしがりながらも嫌がるそぶりを見せない辻ちゃんに対して
(ねえ、辻ちゃんはさ、おれにどこまで許すの?)
お互いキスが止められない。好きな相手とできて嬉しいのに、胸が苦しい。
辻ちゃんがはっと我に返って、「あっ……っえ………と」って
犬飼君を引きはがしてその場を離れる。
(……やりすぎたかな。いや、でもしょうがないだろ。
あんな風にされたら、止められる方がおかしいでしょ)
辻ちゃんから求められたような気がして、高揚感を感じてしまった犬飼君。口角が上がるのが抑えられない。


辻ちゃんは、キスまで教えてくれなくてもよかった。こんな気持ちになるなら知りたくなかった。教えて欲しくなかった。胸を掻きむしるような痛みなんて、知らない方がよかったのに。これが好きって気持ちだなんて、こんな形でしることになるなんて。…………こうなることなんて、ほんとは最初から解ってたはずなのにな。

犬飼君にもう教えてくれなくてもいいですって離れようとする辻ちゃん。あんな、気持ちがあるようなキスされたら、勘違いしそうになる。気持ちが無いキスがこんなに虚しいなんて、知らずにいれたらよかったのに。それでも嬉しいと、思ってしまった自分が居た。ってなる辻ちゃん。

犬飼君は……嫌だった?そんなはずないよねえあんな反応しといて。って思ってるけど、いったん手を引いてみる。

辻ちゃんが来るの解ってて寝たふりしてる犬飼君。辻ちゃん、虚しいだけだって解ってるのに、したくて。寝てますよね……?ってキスしようとして口が触れる寸前位で、犬飼君と視線がぶつかる。
「もう教えていらないんじゃなかったの?」
「あっ……えっ……と………」
消えいるような声ですみません…って言って去ろうとする辻ちゃんの手首を掴む犬飼君。
「逃げれると思った?」
「っ…………あっ…の……」
なんて謝ったらいいのか解らないし恥ずかしいしなにより犬飼先輩の手が触れて体温が伝わって、無言で真っ赤になってる辻ちゃん。
「ねえ、なんとか言いなよ」
「うっ……その……すみ…ません……でした…」
「そうじゃないでしょ。俺がほしい答え、辻ちゃんならもうわかるだろ」
「っ…………犬飼…先輩が……」
「うん、おれが…なに?」ほら、早く言いなよ
俺が何て言うのか解ってるのに、言わせようとする。そんな所も含めてー
「好き……です」
「正解♪おれもね、辻ちゃんのこと好き。ねえ、さっきの続きしてよ」
(辻ちゃんからも求めてくれないと不公平だろ)
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